2020/02/27
WOODギター科 板倉 広征 講師
こんにちは。ウッドギター科の板倉です。
今回は先月のギター・ベースセミナー内でも少し触れました、ギターアンプについてお話してみたいと思います。
セミナーでは初心者の方向けにざっくりと種類やパラメータについての説明をしましたが、その復習も含めつつ、
実際にはどのような特色や使い分けがあるのかを考えてみましょう。
●大まかな分類
セミナーの復習になりますが、ギターアンプは大きく分けると以下の2種類です。
『真空管タイプ』
代表的なアンプ…Marshall JCM900、Marshall JCM2000など
その名の通り中に真空管が入っているタイプです。スタジオなどによく置いてあるMarshallなどがそれにあたります。
パソコンでいうとデスクトップ型のようなもので、電源スイッチが2つついており、片方は本体電源(=真空管を温めて音を出す準備をする)、もう片方は画面スイッチ(=実際に音が出るようになる)となっています。
真空管特有の温かみのある(少し籠もったような)音色が特徴です。
『トランジスタタイプ』
代表的なアンプ…Roland JC-120など
真空管が入っていないタイプです。同じくスタジオなどで最もよく置いてあるのが例にも挙げたJC-120です。
パソコンでいえばノート型のようなもので、スイッチも1つだけです。真空管型は本体電源を入れてから真空管が温まるまでに数十秒ほどかかり、しっかり温まってから初めて音が出るようになりますが、トランジスタタイプのものはスイッチを入れるとすぐに音が出せるようになります。
音色としては「硬い」というか、輪郭のはっきりしたギターそのままの音が特徴です。
ちなみにアンプの『形状』にも2パターンあり、1つの箱型で完結しているものを「コンボタイプ」、鏡餅のように2段重ねになっているものを「スタックタイプ」と呼びます。
上記でいうとJC-120は「コンボタイプ」、Marshallは「スタックタイプ」ですね。しかし同じMarshallでも自宅練習などで使う小型のものにはコンボタイプもあるので、真空管が入っているかどうかとはまた別の分類になります。
●それぞれのギターアンプの特色
さて、では実際にはどのようにこれらのアンプを使い分けるのでしょうか?
例によって色々なメーカーが様々なアンプを開発しているため、一概に「真空管はこう」「トランジスタはこう」とは断言できません。
ただ、上記に挙げた代表的なアンプでいうと、Marshall(真空管型)はかなりがっつりと歪ませた音色を使う人が多いです。
実際にギターが2人いる編成のバンドでは、より歪んだ音色でソロなどを弾くリードギタリストがMarshallを使い、ギターヴォーカルやバッキング(伴奏)を担当する方がJC-120(トランジスタ型)を使う場面がよく見られます。
これは元々Marshallのアンプが歪んだ音色で弾くことをある程度前提として作られているためです。そのためよりパワフルで、且つ耳に痛すぎない真空管の柔らかい音色を作ることができます。
しかしその反面、曲やジャンルに合わせて音作りを変えようとしても、どうしても「Marshall」の色が出過ぎてしまうというデメリットも持ち合わせています。
そのため細かい調整をしたい人や、Marshall特有の音色がそもそも好きではない人だと、敬遠されることも少なくありません。
それに対してRolandのJC-120をはじめとするトランジスタアンプは、「繋いだギターの音をそのまま出す」ことに優れています。
アンプ自体で強く歪ませる力が少ない代わりに、エフェクターを沢山繋いで多彩な音色を使いたい方や、カッティング・アルペジオのような細やかなプレイをしたい方には好まれます。
ただ音の輪郭がはっきりとしているので、硬い音色を好まない人にとっては苦手とされることもあります。
※いずれも弾き手によっても好みが異なるため、「これしかない!」という正解はなく、あくまで傾向のお話になります。
●まとめ
いかがでしたでしょうか?これまで何となくでアンプを選んだり音作りをしていた人も、多くの人がどのようなプレイングをしたいのか?またどのような音色を出すためにそのアンプを選んでいるのかなどを知ることで、より自分の目指している音に近づけるかもしれません。
とくに最近では「アンプシミュレーター」といって、エフェクターで色んなアンプの音色を模して音作りができる便利な機材も沢山あります。便利といえば便利ですが、その再現元のアンプがどのようなジャンルや演奏に向けて作られたものなのかを知らなければ、せっかくのシミュレーターも真価を発揮できません。
ぜひ色々なアンプを試してみて、自分に合ったタイプを見つけてみてくださいね。次回もお楽しみに!